七ヶ宿に残された歌
連休明けの七ヶ宿は,曇りの天候です。
お昼過ぎに強い陽射しが入り,深い秋空も見えました。
さて,七校には,古くからの蔵書がたくさんありますが,
たいへん貴重な本を見つけ,手に取ってみました。
タイトルは「七ヶ宿に残された歌」です。
(平成5年 七ヶ宿町教育委員会編集・発行)
江戸時代の武士・俳人が七ヶ宿街道を通った際,
時々の情景を歌に残し,エピソードが添えられています。
また,発刊当時,七ヶ宿町で短歌を詠んだ方々の
素敵な作品も掲載されています。
作品を通して,往時を振り返り,豊かな自然と
温かな人情を次の時代に残したい,と添え書きも
ありました。
ページを開いてみます。
目にとまった俳句と文章がありました。ご紹介します。
(右ページ下の白黒写真は,滑津にある「振袖地蔵」です)
「つくろはぬ 花の姿や 山ざくら」
国替えとなった藩士に同行した妻が,七ヶ宿街道の「滑津」で
お昼を過ごした時のお話が載っていました。
その時の給仕の女性を「起ち居振る舞いが優れていた」と記し,
その印象を,妻の祖父が詠んだ上述の句と重ね合わせて
思い出した,という旅のエピソードも記されています。
藩士の妻には絵の才覚があり,その時の道中記を
「お国替え絵巻」として,書き残していました。
他にも,芭蕉の弟子である庄内藩士「公羽」の作品や,
俳諧の作者である,白石の松窓乙二の作品も収められて
います。
掲載作品数は多くありませんが,七ヶ宿の自然と歴史に
触れることのできる,貴重な本でありました。